terre des hommes 2

書き忘れや書き損ねについての備忘

テーマ1「自己啓発書ガイド」に関する補足事項2

 ちょっと間が空きましたがもう一つ、考えたことについて書きます。

 

 第3回の連載では、「ビジネス書を中心とした自己啓発書が居並び、何列にもわたって平積みされるターミナル駅の大書店と、自己啓発書が他の書棚と変わりなく陳列されている(もしくはコーナーさえない)郊外・地方の駅前やロードサイドの書店では、自己啓発書の売れ行きや位置づけは全然違いますよね」ということを書いたのですが、それってどうですかねというご意見をいただきました。

 

 確かに、ざっくりと書きすぎてしまったかなと思って反省しています。書店員さんの話(具体的にはビジネス書の売れ行きの店ごとの違い)にもとづいて書いた箇所だったのですが、大書店でなくとも、自己啓発書が目立つ所に置かれているような書店は多いでしょうし、それは地域に関係がないかもしれません。

 

 というより、全国規模で書店チェーンが展開され、またコンビニでも自己啓発書コーナーが置かれている今日では、自己啓発書があるかないかという点では大きな違いはないのかもしれません。

 

 私が強く押すべきだったのは、連載における表現でいえば「位置づけ」の方だったかと思っています。ツイッターでつぶやいたことを書き直すと、「独立した自己啓発書の売り場があり、その啓発書の中でも細かいカテゴリ分けがなされていて、担当者が売れ行き動向や新刊にアンテナを張っていて、実際に売れ行きも良くて…という、ある程度相関する諸傾向が、たとえば東京であれば丸善丸の内のような『総本山』を頂点としてなだらかに階層をなしていて、地方・郊外は総本山に比べると傾向の弱さが看取できるのではないか」ということを言いたかったのでした。

 

 で、その観点から先の「自己啓発書があるかないか」をもう一度考え直すと、「『自己啓発書』というカテゴリ(他のカテゴリとの区分および啓発書内での区分)をはっきりと意識して並べ、良書と思って積極的に売りたい本が多く取り次がれているような書店か、売れている本を取り寄せていったら、あるいは本部の方針に従って陳列していたら自己啓発書コーナーが出来あがっちゃっていたか」みたいな違いにもつながってくるのではないか、と今のところでは考えています。

 

 とはいえ、データをもっとしっかり出さねば、研究者の書きものとしてはまずいわけですので――細かいデータはなかなか書店員さんでも集計・把握していないことが多く、またなかなか公表できるようなデータがないのですが――今後はもう少しこうした細部を詰めながら話をしなければいけないと反省しております。